一般社団法人ベンチ

instagram twitter

PROJECTS

プロジェクト

クロスプレイ埼玉

埼玉の3つの拠点から、ケアと文化が交わる場をひらく

一般社団法人ベンチでは、埼玉県内で特色ある福祉活動を展開する3つの団体と連携し、それぞれが運営する福祉施設を拠点に、県内3か所でアートプロジェクト「クロスプレイ埼玉」を新たに実施します。

ベンチはこれまで、福祉・医療関係者と協働し、「クロスプレイ東松山」をはじめ、ケアとアートにまつわる様々なプロジェクトに取り組んできました。「クロスプレイ」は、福祉の現場を舞台に、利用者や職員、地域住民と、外部から訪れるアーティストが、異なる背景を持つ「他者」として出会い、アートを通じて関わり合うプロジェクトです。その過程では、福祉の日常と芸術が交わることで、「ケアとは何か」を改めて問い直すような出来事が生まれ、多様な立場の人々が互いを理解し、新たな気づきや関係性が育まれています。

「クロスプレイ埼玉」では、「ケアの文化」と「芸術文化」という二つの営みを切り口に、多様な人が関われる余白のある場を育みます。そして福祉施設を、人々の暮らしや文化が交わり、新たな出会いが生まれる地域の拠点としてひらいていくことを目指しています。

本事業では、埼玉県内各地域の特色を生かしたプロジェクトを実施します。福祉施設をアートセンターや劇場のような創造の場として捉え、芸術家や地域の多様な人々と協働しながら文化活動や対話を生み出すとともに、その実践から得られた知見を広く発信し、ケアとアートを通じた新たな地域づくりの可能性を提案していきます。


 各プロジェクト紹介

1. はたけの劇場
×見沼田んぼ福祉農園(さいたま市)

見沼田んぼ福祉農園は、耕作放棄地だった土地を、障害のある人、高齢者、学生、子どもたち、地域住民など、多様な人々がともに耕し、環境保全型の農地として再生してきた場所です。この農園の運営に関わる文化人類学者・猪瀬浩平は、同農園と地域の歴史をたどった著書『分解者たち―見沼田んぼのほとりを生きる』のなかで、「分解」をキーワードに、障害者とそれにまつわる運動や差別の社会構造を見つめ直すとともに、人と人、人間以外の多様なものたちが集まり、「共に在る場」を編みなおす可能性が描かれています。
本プロジェクトには、社会の非対称な構造や差別をテーマに作品を発表してきた演劇ユニット「果てとチーク」の升味加耀、川村瑞樹が参加。『分解者たち』を手がかりに、見沼田んぼ福祉農園を「劇場」に見立て、農園に関わる人々へのインタビューや交流、ワークショップを重ねながら、土地の歴史や日々の営み、人々の身体や関係性のなかから立ち上がる表現を探ります。そのプロセスをもとに創作したパフォーマンスを、農園の収穫祭で発表します。
(実施期間:2026年7月〜11月)

収穫祭におけるパフォーマンスの成果発表

日時:2026年11月23日(月・祝)
会場:見沼田んぼ福祉農園
※予約受付等の詳細は、10月上旬頃までにWEBサイト、SNS等にてお知らせする予定です。

プロフィール

果てとチーク
寿司を食べる2人
升味加耀と川村瑞樹が主宰する演劇ユニット。
ユニット名の由来は「ヘイト(hate) とホープ(hope)」。
大きな世界とちっぽけな人々の絶望的に変わらない状況を、ありったけの憎しみと、ごくごく僅かな希望を込めて描きだす。フェミニズムを作品の”テーマ”ではなく”ベース”として捉え、日常に遍在する社会的マイノリティへの偏見や意識的・無意識的な排斥、無知や無関心のグロテスクさを、ポップかつドライに描く。上演を通じ、生身の人間が“今ここで起きた本当”として、私たちの社会と地続きの問題提起を行うことで、観客が断絶や連帯を思考する”場”を生み出す。

見沼田んぼ福祉農園
農園の中を人が歩いている風景
見沼田んぼ福祉農園は、埼玉県の見沼田圃公有地化推進事業の一環として、「見沼田圃の保全・活用・創造の基本方針」に基いて見沼福祉農園推進協議会によって運営されている。 障害のある人たちが、農作業を通じて作物を育てる喜びや収穫の喜びを味わい、障害者相互の交流、地域との交流を図ること等を目的として活動する。 1999年4月の開園以降、耕作放棄地だった土地を、障害のある人、高齢者、学生、子どもたち、地域住民など、多様な人々がともに耕し、環境保全型の農地として再生し、 ①地域に伝わる知恵の活用、②武蔵野と呼ばれた地にふさわしい農的風土の保全、③里山で間伐した竹を使った暗渠による排水不良、④落ち葉や雑草を使った堆肥作り、土作り、⑤泉や小川など自然の仕組みを活かした環境整備の五つの点を活かした農園作りを進め、農業政策や福祉政策の枠を超えた先進事例として高い評価を受けている。

 


2. 福祉施設の記憶アーカイブ「この場所で、みんなで生きる」
×工房集(川口市)

社会福祉法人みぬま福祉会が川口市で運営する生活介護事業所「川口太陽の家」と、その従たる事業所「工房集」は、「仲間」と呼び合う障害のあるメンバーたちが、それぞれの表現をもとにした「仕事」に日々取り組む場所です。そこには、一人ひとり異なる表現を尊重し合いながら、ともに過ごしてきた人々の記憶や関係性が、空間のなかに積み重ねられています。
本プロジェクトは、協働的な記録と表現を実践するアーティスト・コレクティブであるNOOKが、両施設で継続的なリサーチやインタビューを行い、そこに息づく記憶やエピソードを集める、アーカイブプロジェクトです。工房集と川口太陽の家という場そのものに着目し、多様な表現が生まれてきた背景をひもときながら、アーティストの視点でさまざまなかたちの記録を制作します。
さらに、集まった記録をもとに展覧会を開催し、施設という共生の場で育まれてきた営みを広く共有します。その実践を通して、多様な人びとがともに生きるこれからの社会の姿を考え、描くきっかけとなることを目指します。
(実施期間:2026年7月〜2027年1月)

アーカイブ展覧会の実施

日時:2027年1月16日(土)〜23日(土) ※1月18日(月)・19日(火)休館
会場:工房集(埼玉県川口市木曽呂1445)
※会期中にトークイベント実施予定
※展覧会の詳細情報は11月中旬頃までにWEBサイト、SNS等にてお知らせする予定です。

 

プロフィール

NOOK

東日本大震災以降、仙台市内や三陸沿岸各地で、リサーチ、記録、表現活動を行ってきたアーティストや研究者らによるコレクティブ。
現在は東京都江東区大島にある「Studio 04(ぜろよん)」に拠点を置きながら、災禍の記録のリサーチを行い、対話の場を設え、そこで起こるさまざまな事象を、映像やテキスト、ドローイングといったメディアを用いて記録・表現をしている。進行中のプロジェクトに「カロクリサイクル」(東京都、アーツカウンシル東京と共催)などがある。
メンバーは、瀬尾夏美、細谷修平、小森はるか、中村大地、佐竹真紀子、磯崎未菜、関優花。

工房集
工房集の前庭と建物
社会福祉法人みぬま福祉会が運営する生活介護事業所「川口太陽の家」の従たる事業所として2002年に開設。主に知的障害のあるメンバーの表現プロジェクトを社会につなげるための活動拠点となっている。
施設名の「集(しゅう)」には「そこを利用する仲間だけの施設としてではなく、新しい社会・歴史的価値観を創るためにいろんな人が集まっていこう、そんな外に開かれた場所にしていこう」という想いが込められている。
絵画や造形、デジタルアートなどさまざまな手段で、メンバーそれぞれが創作活動に取り組む。時には仲間同士で影響し合いながら、また作品が社会にさまざまな形で発信されることでの反響を感じながら、表現を仕事とすることによって社会と繋がる活動を行なっている。

 


3. クロスプレイ東松山2026 地域プロジェクト
×デイサービス楽らく(東松山市) 他

東松山市では、高齢者福祉施設「デイサービス楽らく」を拠点に、ケアとアートをテーマとした「クロスプレイ東松山」を継続的に実施しています。これまで、さまざまな分野のアーティストが施設に滞在し、利用者や職員との交流を重ねるとともに、地域の教育機関や文化施設とも連携しながら活動を展開してきました。
「クロスプレイ東松山 地域プロジェクト2026」では、これまでの滞在で育まれた関係性を生かし、地域の人々やアーティストとともに、地域のさまざまな場で暮らしとケアの面白さを再発見する活動を新たに始めます。
約半年にわたるプロジェクトでは、暮らしやケアについてゲストとともに語り合うサロンや、小学校で認知症やケアをテーマにアーティストと学ぶ出前授業、多様な人が参加できるワークショップなどを実施します。また、実施期間の最後には、地域の人々とともにデイサービス楽らくを会場とした「まにまに文化祭」を開催します。ふと立ち寄れば、文化的な活動を通してケアの芽に出会える。そんな「ケアする公民館」のような場を、地域のなかに育んでいくプロジェクトです。
(実施期間:2026年8〜12月)

イベント①
浅野友理子 版画展&トーク「じいばの花」

日時:2026年8月22日(土)
14:00〜16:00 トーク
13:30〜17:00 版画展 ※トーク開催中以外の時間にご覧いただけます
会場:辻保順医院 待合室(東松山市新郷29-3)

2026年3月から4月にデイサービス楽らくに滞在した画家・浅野友理子氏は、デイサービスに通う利用者や地域の方々から植物にまつわる記憶や物語を聞き、様々な版画を作りました。地域の医療拠点である「辻保順医院」の待合室を会場に、滞在制作で生まれた版画作品を展示、紹介します。また、浅野氏によるトークイベントを開催します。

申込受付中!
詳細・申込はこちらから

イベント②
サロン

アーティスト:白神ももこ(モモンガ・コンプレックス)
会場:デイサービス楽らく(東松山市下唐子1574-1)

第1回 日時:9/27(日)13:00-15:30
ゲスト:室田朱実(子ども文化村)
第2回 日時:10/17(土)13:00-15:30
ゲスト:鞍田 愛希子(こらだ環境研究所/ムジナの庭)
※申込等の詳細情報は8月中旬頃までにWEBサイト、SNS等にてお知らせする予定です。

ケアにまつわる色々な話ができる対話カフェ・お茶会の場を、デイサービス楽らくの休日に開催します。暮らしの中にあるケアを楽んで考えることのできるワークショップやトークをプログラムとして実施。アーティストと一緒に軽く体を動かしてリラックスしてみたり、ケアに関わる人の話をみんなで聞いたり、最近気になっていることを相談してみたり。参加者が気楽に普段の悩みなどを話せる場となって、今後も色々な相談がしやすい関係ができる「縁結び」の場づくりを目指します。

イベント③
小学校でのアウトリーチ活動

アーティスト:菅原直樹
会場:東松山市立唐子小学校、デイサービス楽らく
※一般非公開

演劇ワークショップを通して、小学校の児童が認知症への理解や、ケアにおけるコミュニケーションについて学ぶプログラムを実施します。まず、アーティストが学校を訪問し、出前授業を実施。その後、児童がデイサービス楽らくを訪れ、高齢者との交流を行います。交流では、高齢者と児童がともに楽しめる内容を児童自身が企画し、実際に一緒に体験しながら交流を深めます。

イベント④
まにまに文化祭

日時:2026年12月27日(日)
会場:デイサービス楽らく
※詳細情報は10月下旬頃までにWEBサイト、SNS等にてお知らせする予定です。

プロジェクトに関わってきたアーティストと地域の人たちが参加し、それぞれの表現を持ち寄って楽しむ小さなお祭りを開催します。当日は、ステージやトークイベント、展示に加え、地域にちなんだ食べ物の販売など、さまざまなコーナーを設ける予定です。また、開催に先駆けて、文化祭の内容とも関わる創作活動を楽しめるワークショップも開催予定です。

 

プロフィール

■浅野友理子
浅野友理子写真

画家。1990年宮城県生まれ。2015年東北芸術工科大学大学院芸術文化専攻洋画研究領域修了。
様々な地域を訪れ、土地ごとに受け継がれる植物の利用方法や食文化、女性の手仕事について聞き歩き、それらを絵画で記録するように制作を行っている。
「第3回絹谷幸二芸術賞」受賞、「VOCA展2020 現代美術の展望―新しい平面の作家たち」大原美術館賞受賞。「国際芸術祭あいち2025」、「Artist-in-Residence Program 2024 “SPINNING SCAPES”」国際芸術センター青森に参加。

■白神ももこ(モモンガ・コンプレックス)
白神ももこ写真
撮影:北川姉妹

振付家、演出家、ダンサー。ダンス・パフォーマンス的グループモモンガ・コンプレックスを主宰し、全作品の構成・振付・演出を担当。無意味・無駄を積極的に取り入れ、生活の中の些細なできごとやダンスにとどまらない表現を自由に取入れユニークな空間を醸し出す。
2022年デフ・パペットシアター・ひとみ『百物語』原作:杉浦日向子を構成・演出、2023年クロスプレイ東松山にて高齢者福祉施設デイサービス楽らくでの滞在制作『どこ吹く風のあなた、ここに吹く風のまにまに』など。その他演劇作品への振付提供をするなどジャンルを越えた活動をしている。2017—2018年度セゾン文化財団ジュニアフェロー。2019〜2024年度、埼玉県富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ芸術監督。

■菅原直樹
菅原直樹写真
撮影:冨岡菜々子

劇作家、演出家、俳優、介護福祉士。「老いと演劇」OiBokkeShi主宰。四国学院大学非常勤講師、美作大学非常勤講師。
青年団に俳優として所属。2010年より特別養護老人ホームの介護職員として勤務。2012年、東日本大震災を機に岡山県に移住。2014年「老いと演劇」OiBokkeShiを岡山県和気町にて設立し、演劇活動を再開。並行して、認知症ケアに演劇的手法を活用した「老いと演劇のワークショップ」を全国各地で展開。2016年より活動拠点を岡山県奈義町に移す。

デイサービス楽らく
デイサービス楽らく全景
人が人としてかけがえのない人生を豊かに過ごすためには、Cure(治療)のための医療だけでなく、Care(介護、福祉)のちから、そして何より自己実現のためのCulture(文化)が必要という理念をもつ医療法人社団保順会が運営するデイサービス。埼玉県のへそと言われる、東松山市唐子地区に2007年に開所し「らくに たのしく その人らしく」をモットーに、年齢を重ねることで生じる病気や障害等により介護や手助けが必要になっても、住み慣れた地域での暮らしを豊かにし続ける場として、専門性のあるスタッフが“寄り添うケア”を大切にしたサービスを続けている。
2022年6月に、行為としての介助を提供するだけでなく、アートを通じた“よりクリエティブなケアの実践”の場として、アーティスト・イン・レジデンスを併設した施設を移転新築し、ケア×アート「クロスプレイ東松山」を実施している。


クロスプレイトーク

「クロスプレイ埼玉」に参加したアーティストや福祉施設の関係者らが一堂に会し、約半年にわたるプロジェクトを振り返る成果報告会を開催します。3つのプロジェクトそれぞれの実践や特徴を紹介するとともに、地域を越えて共有できる視点やアイデア、ケアとアートを通じた地域づくりの可能性について語り合い、今後の実践につながる学びを広く共有します。

日時:2027年2月11日(木・祝)
場所:埼玉県内(予定)
詳細情報は1月上旬頃までにWEBサイト、SNS等にてお知らせする予定です。

 


活動のプロセスはnoteで発信していきます。
https://note.com/crossplay_saitama

Instagramでも日々の活動やイベント情報などを投稿していきます。
https://www.instagram.com/crossplay_saitama

主催:文化庁、一般社団法人ベンチ
文化庁委託事業「令和8年度障害者等による文化芸術活動推進事業」
共催:見沼福祉農園推進協議会、NPO法人のらんど、社会福祉法人みぬま福祉会、医療法人社団保順会
企画制作:一般社団法人ベンチ

文化庁ロゴ 一般社団法人ベンチロゴ

 

 

一覧へもどる