一般社団法人ベンチ

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PROJECTS

プロジェクト

『クロスプレイ東松山』(2024-25)

一般社団法人ベンチでは、埼玉県東松山市の高齢者福祉施設「デイサービス楽らく」(運営:医療法人社団保順会)でのアーティスト滞在を中核としたプロジェクト「クロスプレイ東松山」を、2022年より実施しています。

クロスプレイ東松山ロゴ2

クロスプレイ東松山について

埼玉県東松山市にある高齢者福祉施設「デイサービス楽らく」では2022年に施設の移転新築を設計する際に、高齢者福祉施設が文化 施設の機能と役割も持つというコンセプトのもと、アーティスト が宿泊できるレジデンススペースと、創作活動を行うことができる多目的室を設置しました。
これを機に、同施設を運営する医療法人社団保順会と一般社団法人ベンチが共同し、アーティストの滞在(アーティスト・イン・レジデンス)を中核としたケアとアートのプロジェクト「クロスプレイ東松山」に取り組んでいます。

アーティスト滞在の様子

特徴

福祉施設でのアート活動は、レクリエーションの時間を使ってアーティストが活動を提供するという構造が主流でしたが、本事業では福祉施設の人たちとアーティストが同じ場所で、それぞれの時間を過ごすことを重要視しています。施設を利用する高齢者の空き時間にアーティストが話しかけたり、施設の行事にアーティストが参加したり、あるいはレクリエーションの内容をアーティストと施設職員が一緒に考えたりする中で、利用者や職員とアーティストの活動が交わり、対等の文化的な交流が生まれることを目指しています。

また、地域の福祉・文化・教育関係者などと連携して施設内外でプロジェクトを展開していくことで、ケアとアートの創造性が活かされた地域づくりに取り組んでいます。

過去の活動報告はこちら>>
クロスプレイ東松山報告書 2022 / 2023

活動の様子をnoteにて随時紹介中>>
「クロスプレイ東松山」note

 

【アソシエイトアーティスト】

様々な分野のアーティストに作品制作を依頼。アーティストはデイサービス楽らくに滞在し、施設内や地域の人々との交流を重ねながら、上演・展示等のアウトプットを目指すプログラムです。

2024-2025プログラムでは、2023年度公募アーティストとして滞在した竹中香子氏が、滞在の経験を踏まえて創作された演劇作品『ケアと演技』(2024年5月初演)を、職員向けにデイサービス楽らくで上演。鑑賞後にはアーティストと職員の対話の時間をつくります。
また、一般観客向けにも公演を開催し、「クロスプレイ東松山」の取り組みを広く共有する機会とします。

ハイドロブラスト『ケアと演技』(作・演出:竹中香子)
日時:
デイサービス楽らく職員向け公演:2025年3月29日(土)
一般向け公演:2025年4月11日(土)・12日(日)(予定)
会場:デイサービス楽らく


ハイドロブラスト

2019年に、映画監督の太田信吾が映画と演劇作品を手掛ける団体として設立。2022年より、竹中香子がプロデューサーとして加入。企画ごとに役割を規定し、複眼的な作品創作を目指す。2024年舞台『最後の芸者たち リクリエーション版』は、太田と竹中の初の共同演出作品として、Festival d’Automne à Parisで上演される。最新作映画『沼影市民プール』は、カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2024(チェコ)にて「First Cut+ Works in Progress Award」 を受賞、全国公開を控える。
https://hydroblast.asia/

ハイドロブラスト写真
写真撮影:加藤甫

アーティストコメント:
みなさん、こんにちは。ハイドロブラストプロデューサー、竹中香子です。私はフランスの公共劇場を中心に俳優として数多くの作品に関わってきましたが、ある時、フランスの客席は圧倒的に白人層で埋め尽くされていることに気づきました。そこで、自分から動かなければ出会えない観客層がいることを痛感し、現在は、劇場にきてもらうのではなく、自分から「出向く」ということを大切にアートプロジェクトの企画を行なっています。昨年度公募アーティストとして参加した『クロスプレイ東松山』は、まさに自分から「出向く」ことでしか出会えない経験でした。介護士さんや利用者さんと過ごした時間は、私たちは同じものをみて違うことを感じている、という至極当たり前のことへの戸惑いと葛藤の連続でした。何に価値を感じ、何に希少性を感じるのか、の背景に潜む断絶ときちんと向き合い、「違う」ことを恐れるのではなく、歓迎できるようになりたい。クロスプレイ滞在を経て創作された『ケアと演技』という作品を通して、自己表現のためでなく、他者を想像するためのツールとして、演技という行為がもたらす他者との優しいつながりのかたちを模索します。

 

【公募アーティスト】

滞在を希望するアーティストを公募し、レジデンススペースを提供するプログラムです。アーティストはレジデントルームや多目的室を自由に活用して関心のある活動を行い、同時に利用者や 職員との交流につながる活動も提案・実施します。
滞在期間中の作品の制作・発表は前提とはせず、滞在を通じてデイサービスの日々の時間を利用者らと共に過ごす中で生まれる様々な気づきや揺らぎが、アーティストの今後の活動に活かされていくことを重視しています。


とほ (美術)

彫刻家。1992年愛知県生まれ。2018年石川県立輪島漆芸技術研修所特別研修課程専修科を途中退所。2024年愛知県立芸術大学大学院美術研究科博士前期彫刻領域を修了。日常の景色から得られた 「きれいだ」や「なぜ?」など心が動いた様を『印象』と呼び、その気持ちの揺らぎの源を突き詰めるために彫刻を造り出している。 また、手の内で磨き漆を塗った彫刻を他者に渡すことで、 彫刻を介して対話をする方法を模索している。

とほさん写真


中村大地 (演劇)

劇作家・演出家。1991年東京都府中市生まれ。東北大学文学部卒。在学中に劇団「屋根裏ハイツ」を旗揚げし、8年間仙台を拠点に活動。2018年より東京在住。現在は仙台・横浜・東京をゆるやかに行き来しながら創作をつづける。『ここは出口ではない』で第2回人間座「田畑実戯曲賞」を受賞。「利賀演劇人コンクール2019」ではチェーホフ『桜の園』を上演し、観客賞受賞、優秀演出家賞一席となる。2024年、第14回せんがわ劇場演劇コンクールにて『未来が立ってる』が劇作家賞を受賞。
土地と協同しながら記録をおこなうコレクティブNOOK、部屋というスケールから演劇を捉えなおす集まり #部屋と演劇 のそれぞれメンバー。

中村大地さん写真
撮影:本藤太郎

 

【小学校交流プログラム】

近隣の東松山市立唐子小学校と連携し、総合的学習の時間を活用し、アーティストによる出前授業を行います。
2024年度は菅原直樹氏を講師に迎え、演劇を通じて認知症を考えるワークショップを実施します。


菅原直樹

劇作家、演出家、俳優、介護福祉士。1983年栃木県宇都宮出身。桜美林大学文学部総合文化学科卒。平田オリザが主宰する青年団に俳優として所属。2014年に岡山県で「老いと演劇」OiBokkeShiを設立し、認知症ケアに演劇的手法を活用した「老いと演劇のワークショップ」を全国各地で展開。「世界ゴールド祭2018」で徘徊演劇「よみちにひはくれない」浦和バージョンを手掛けるなど外部でも活躍。平成30年度(第69回)芸術選奨文部科学大臣賞新人賞(芸術振興部門)を受賞。

菅原さん写真
©︎草加和輝

 

【活動報告書】

本プロジェクトの2022・2023年度までの活動をまとめた報告書を作成・発行し、広く配布します。

 

クロスプレイ東松山 2024-25 実施体制
企画:武田奈都子(保順会/デイサービス楽らく)、藤原顕太(bench)、武田知也(bench)
コーディネート:岩中可南子、岡崎彩音

主催:
医療法人社団 保順会
一般社団法人 ベンチ

助成:
公益財団法人 福武財団
埼玉県文化振興基金助成事業

 

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