一般社団法人ベンチ

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「バッテリー」公開レクチャー(第3期)

アートマネージャー・メンターシッププログラム「バッテリー」(第三期)では、全3回の公開レクチャー(オンライン開催)を実施します。

集うこと、場を共有することを停止したコロナ禍での中断は、舞台芸術を仕事/生業とする多くの人たちに対し、否応なく活動内容と形式の再考を促しました。
その過程では活動する当事者たちが様々なネットワーク等を形成し、芸術文化の価値と職業としての危機を、国・自治体等の公的な機関に限らず、民間や幅広く市民に対しても支援を求めて訴えました。またコロナ禍から現在まで、芸術にまつわる労働の実態調査、契約や税務・法務の基礎知識講座、相談窓口の設置、深刻な問題になっているハラスメントに関する対策等も官民問わず活発化しています。
これら「職業化」の動きや、法整備、ガイドライン作成等での「制度化」=「芸術の社会化」は、誰かの犠牲によって成立させたり、それを隠す構造を是正する意味で大きな意義があるでしょう。同時にこのことは、誰かに頼まれたわけでもない、ある個人や集団の表現が普遍的な価値や問いを生み出す芸術創造の可能性、観客も含めたそこに集う人々によってできる「場」のあり方自体にも変化を促し、引いては作品/芸術と社会の関係にも影響を及ぼすものでしょう。その時、芸術が生まれる「場」を作り、運営するアートマネージャーは、どのような役割を果たし得るのでしょうか。
今年度は、「芸術と労働/仕事」、「市民活動と社会」をテーマに、3人のレクチャラーのお話から芸術と社会の関係を捉え直し、アートマネージャーは“何をマネジメントするのか”を考える機会とします。


第1回 【芸術と労働の関係】
講師:菅谷奈緒(司法書士・元美術家)

そもそも、誰かに頼まれようが頼まれていなかろうが、 何かを表現し、 個人や集団で作品へと昇華させる行為が人間にとって根源的な誰に でも持ち得る欲求である時、そこに集う人々の「芸術」と「労働」 の関係はどのように考えられるのか?芸術活動における報酬、 搾取はどこに発生するのか?「芸術と労働」 をテーマとした執筆活動も行い、現在は司法書士へと活動の主軸を 変化させた元美術家の菅谷奈緒の問題提起から、 現代社会における「芸術と労働」の関係を考える。

■日時:8月14日(水)19:00〜21:00
■料金:無料
■申込:https://battery-am-lecture2024-1.peatix.com
■申込締切:8月14日(水)21:00 ※レクチャー終了予定時刻まで

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菅谷奈緒さんより
皆様こんにちは。元美術家で現司法書士の菅谷奈緒と申します。私は、美術家時代は社会の問題をテーマとした制作活動を行っておりましたが、実際に問題を解決することに興味が向かい、美術家を辞め、法律を学んで司法書士になりました(ちなみに美大・音大卒の同業者も意外に居ます)。今回は美術家時代に書いた「誰もが『芸術家』というディストピア」というエッセイ(白川昌生・杉田敦編『芸術と労働』に所収)に沿って、芸術家が労働者性を認められ労働者としての権利を主張できるようになり、一方で労働者は芸術家のように自由に働き創造力を発揮することが称揚されるようになった現代における「芸術」/「労働」についてお話した上で、今の場所から「芸術家が社会の中で職業的専門家としての地位を得ること、その是非」について皆様と考えてみたいと思います。
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菅谷奈緒 | Nao Sugaya

1981年千葉県生まれ。2007年女子美術大学大学院美術研究科立体芸術修了。司法書士/元美術家。美術家として展覧会や執筆活動を行ったのち、法律に興味を持ち2022年に司法書士の資格を取得。現在は神奈川の司法書士事務所に勤務。将来的には生活困窮者(特に非正規シングル女性)支援や在留外国人支援を中心に行っていきたいと考えている。主な個展、グループ展に、「青森EARTH」青森県立美術館(2015年)など。

 

第2回 【自治から生まれる、”共にある場”】
講師:猪瀬浩平(文化人類学・ボランティア学/明治学院大学教養教育センター教授

他者と交わる、共にあるとはどういうことか。障害のある兄と共に、ボランティア=自治の力で福祉農園を運営する猪瀬氏は、国家や市場のシステムから排除されるものたちも含めた“共にある場”の実践を模索する。猪瀬氏が著書「野生のしっそう」や「ボランティアってなんだっけ?」でも問いかける、自発性・無償性・公共性をめぐる「場」の可能性と課題から、芸術における「場」づくりを考える。

■日時:11月20日(水)19:30~21:30
■料金:無料
■申込み:https://battery-am-lecture2024-2.peatix.com

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猪瀬浩平さんより
猪瀬です。明治学院大学で教員をしつつ、さいたま市にある見沼田んぼ福祉農園という農園の運営にかかわっています。文化人類学者として、何冊かの本も書いています。
福祉農園で活動していると、さまざまな劇的な場面があります。とても派手なときもあれば、とても地味なときもあり。その経験をどのように内側の人びと、外側の人びとと共有できるのかということを考えながら、文章を書いて、話をしてきました。それは「共にある場」ということの意味を深めることなのだろうと思います。今回のレクチャーでは自治ということを考えながら、表現することの意味を皆さんと議論できればと考えています。
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猪瀬浩平|Kohei Ionse

1978年浦和市生まれ。明治学院大学教養教育センター教授。専門は文化人類学、ボランティア学。1999年の開園以来、見沼田んぼ福祉農園の活動に巻き込まれ、様々な役割を背負いながら今に至る。著書に、『むらと原発――窪川原発計画をもみ消した四万十の人びと』(農山漁村文化協会)、『分解者たち――見沼田んぼのほとりを生きる』(生活書院)、『ボランティアってなんだっけ?』(岩波ブックレット)、『野生のしっそう――障害、兄、そして人類学とともに』(ミシマ社)などがある。

 

第3回 【のきした=劇場に人々が集う「犀の角」の実践】
講師:荒井洋文(一般社団法人シアター&アーツうえだ代表理事/犀の角代表/舞台芸術プロデューサー)

※レクチャー概要は後日更新します。
■日時:12月18日(水)19:00~21:00
■料金:無料
■申込み:https://battery-am-lecture2024-3.peatix.com

荒井洋文 | Hirofumi Arai

撮影:直井保彦
上田市出身。静岡県舞台芸術センター制作部に所属後、上田市で文化事業集団「シアター&アーツうえだ」を発足。演劇を軸とした文化芸術活動のプロデュースを行っている。2016年、上田市中心商店街の空き店舗をリノベーションし、演劇やライブ等で使用できるイベントスペースとゲストハウスを備えた民間文化施設「犀の角」をオープン。様々な表現活動や地域住民・アーティストの交流の場として運営している。近年はアーティスト・イン・レジデンスに重点を置いた事業や劇場の役割の捉え直した居場所作りなどの事業を展開。上田市交流文化芸術センター運営協議会委員。令和5年度(第74回)芸術選奨芸術振興部門において文部科学大臣賞受賞。

 

アートマネージャー・メンターシッププログラム特設サイト

 


主催:NPO法人Explat、一般社団法人ベンチ
協力:有楽町アートアーバニズムYAU
助成:公益財団法人セゾン文化財団
文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術等総合支援事業(次代の文化を創造する新進芸術家育成事業))
独立行政法人日本芸術文化振興会

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