
アートマネジャー・メンターシッププログラム「バッテリー」
公開レクチャー「いま、舞台芸術の不可視を見ようとする」(全3回)
アートマネージャー・メンターシッププログラム「バッテリー」では、今年度も公開レクチャーをひらきます。
昨年度のレクチャー「関係性をマネジメントする―権力・専門性・対等性を問い直す」では、アートマネージャーである私たちが無意識のうちに内面化してきた能力主義や専門性、権力といった枠組みを見つめ直しました。
第5期となる今年度は、その延長線上で「いま、舞台芸術の不可視を見ようとする」(全3回)と題し、社会を形づくるさまざまな枠組みに目を向けます。
アートマネージャーは、人と人、人と地域、人と制度を結び、その結び目のなかで作品創造の現場を支えています。しかし、その実践において私たちは、国家や公共、経済、制度といった社会の枠組みを、所与のものとして受け入れつづけてはいないでしょうか。
本シリーズでは、アートマネージャーを取り巻くさまざまな枠組みを、異なる視点から捉え直します。国家と芸術の関係や、公共・自治のあり方、私たちが前提としている社会の価値観などを手がかりに、芸術の役割や、芸術活動が生み出しうる公共性、そしてこれからのアートマネージャーのあり方について、ともに考えていきます。
▶︎ 「バッテリー」公開レクチャーについて
本レクチャーは、講師とメンティーによる双方向の対話を重視した構成となっています。
質疑応答はメンティーを優先させていただきますので、あらかじめご了承ください。
【当日の流れ】
・講師による講義(約60分)
・メンティーと講師によるディスカッション・質疑応答(約60分)
第1回 「現代ロシアから考える、国家と演劇」
講師:伊藤 愉(明治大学文学部准教授、ロシア演劇史研究者)

国家は文化や芸術とどのように関わり、表現にどのような影響を及ぼすのか。ウラジミル・プーチン政権下、とりわけ第三期が始まった2012年以降のロシアでは、「伝統」や「道徳」といった言葉が政治や政策のなかで繰り返し語られ、人々の歴史認識や表現のあり方にも大きな影響を与えてきた。ロシア演劇史を専門とする伊藤氏は、こうした状況のなかで演劇人たちがどのような選択や葛藤を経験してきているのかを読み解く。本レクチャーでは、戦時下の現代ロシアを題材に国家と芸術の関係を考察しながら、社会における芸術の役割や、文化の現場に携わる実践者のあり方について考える。
■レクチャー日程
2026年8月12日(水)19:00〜21:00
リアルタイム視聴のみ。実施後のアーカイブ配信はございません。
■参加方法
参加費無料・要予約
お申し込みはレクチャーの終了時刻まで受付いたします。
■申込(Peatix):https://battery-am-lecture2026-1.peatix.com/
<講師からのメッセージ>
2000年に大統領に就任したウラジミル・プーチンは、「愛国心と歴史的記憶の復活」を訴え、歴史に関するナラティヴを継続的に発信してきました。とりわけ3期目の2012年以降はさまざまな法令が発布され、「伝統的」や「道徳的」といった用語が繰り返し用いられてきています。しかし、それらの「概念」は不明瞭であり、「文書をどう読み解くべきかのシニフィアンとして機能」し、自己検閲を強化させる性質があると評価されてもいます。このように、現在のロシアでは歴史的記憶の独占やあるいは「価値観」の規範化が図られ,演劇人たちも抵抗を示しつつも公には抗いきれず、受け入れてきました。こうした状況は、ロシアに限定される話なのか、あるいは私たちのこととしても考えうるのか。今回のレクチャーでは、現代のロシア演劇をテーマに、国家と演劇の関係を考えていきたいと思います。(伊藤 愉)
▶︎ 講師:伊藤 愉 | Masaru Ito(明治大学文学部准教授、ロシア演劇史研究者)
明治大学文学部准教授。専門はロシア演劇。訳書にセルゲイ・トレチヤコフ『子どもがほしい!』(白水社)、キャサリン・ブリス・イートン『メイエルホリドとブレヒトの演劇』(玉川大学出版部、谷川道子と共編訳)、グリゴーリー・ガウズネル『見知らぬ日本』(共和国)、エドワード・ブローン『メイエルホリド 演劇の革命』(水声社、浦雅春と共訳)など。
▶︎ ディスカッション参加:たちばなせつこ 、中條 玲、荷車ケンシロウ、秦 元樹、堀 朝美(以上、第5期メンティー)
▶︎ モデレーター:齋藤 啓(メンター)
第2回 「公共をつくりなおす――くらしと自治とアートマネジメント」
講師:松村圭一郎(文化人類学者)

いつのまにか国家や市場(しじょう)に委ねてしまいがちな「公共」を、私たちはどのように自らの手に取り戻すことができるのだろうか。 松村氏は、著書『くらしのアナキズム』などにおいて、人々の日々のくらしや、古着屋、ライブハウスといった小さな経済活動(市場〔いちば〕)のなかに息づく協働や自治の実践に着目し、下から公共をつくりなおす可能性を問い続けている。そして舞台芸術の活動もまた、誰に頼まれたわけでもなく他者と集い、ともに何かを立ち上げる、小さな自治の場であり、ひとつの経済活動として捉えることができるかもしれない。本レクチャーでは、松村氏の視点を手がかりに、私たちが前提としている経済や社会の仕組みを解きほぐしながら、芸術活動が生み出しうる公共性と、これからのアートマネジメントのあり方について考える。
■レクチャー日程
2026年11月11日(水)19:00〜21:00
リアルタイム視聴のみ。実施後のアーカイブ配信はございません。
■参加方法
参加費無料・要予約
お申し込みはレクチャーの終了時刻まで受付いたします。
■申込(Peatix):https://battery-am-lecture2026-2.peatix.com/
<講師からのメッセージ>
はじめまして。文化人類学を学びながら、国家などの大きな枠組みに頼りすぎずに、人と人との顔の見えるコミュニケーションのレベルで社会を変えていくにはどうしたらいいか、考えてきました。最近は、岡山を拠点に、小さな店での経済活動や映画やアートなどの文化的活動を通して複数の関係性が紡がれていく状況に注目しています。生成AIなど、さまざまなテクノロジーに囲い込まれる時代に、身体をもつ生きた存在として「人間であること」がいかに可能なのか、どうしたら「人間であること」をもとに公共性や自治を組み立てられるのか、みなさんと考えたいと思います。(松村圭一郎)
▶︎ 講師:松村圭一郎 | Keiichiro Matsumura(文化人類学者)
文化人類学者。「旅する大学」講師、同志社大学大学院教員。エチオピアや中東都市部をフィールドに、所有と分配、海外出稼ぎ、市場と国家の関係などについて研究。著書に『所有と分配の人類学』(ちくま学芸文庫)、『うしろめたさの人類学』(ミシマ社、第72回毎日出版文化賞特別賞)、『くらしのアナキズム』(ミシマ社)、『はみだしの人類学』(NHK出版)、『海をこえて』(講談社)など、共編著に『文化人類学の思考法』(世界思想社)、『働くことの人類学』(黒鳥社)。エチオピアの村で映像作品を制作し、東京ドキュメンタリー映画祭2018の短編部門で『マッガビット 雨を待つ季節』、 同映画祭2020の特集「映像の民族誌」で『アッバ・オリの一日』が上映される。
▶︎ ディスカッション参加:たちばなせつこ 、中條 玲、荷車ケンシロウ、秦 元樹、堀 朝美(以上、第5期メンティー)
▶︎ モデレーター:武田知也(メンター)
第3回:12月4日(金)19:00-21:00
詳細は追って公開
第5期メンティー・メンターの詳しいプロフィールはこちら
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【お問い合わせ】
「バッテリー」事務局
Mail:battery.mentorship★gmail.com(★→@)
TEL:03-4213-4291(NPO法人Explat)
特設サイト https://battery-am.studio.site/
X https://x.com/Battery_AM
Facebook https://www.facebook.com/BatteryAM
主催:NPO法人Explat、一般社団法人ベンチ
協力:有楽町アートアーバニズムYAU
助成:アーツカウンシル東京[東京芸術文化創造発信助成(長期助成)]創造環境向上活動
文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術等総合支援事業(芸術家等人材育成))|独立行政法人日本芸術文化振興会